【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第19章 黒子のバスケ✿木吉鉄平「浴衣」
からんころんとコンクリート道路を歩き、提灯の明かりと人が賑わう会場が見えてくる。鉄平は自然と手を繋いできて、雰囲気を楽しみながら出店を巡る。
「あ、の好きなチョコバナナが売ってるぞ。食べるか?」
「うん。食べたい…!」
「あっちにベビーカステラもあるな」
「イカ焼きもいいよね~」
あちこちから漂う甘い香りや、香ばしくて食欲をそそるしょっぱい匂いに惑わされる。空腹だった胃袋を満たし、20時半から岸辺で花火大会が行われるためピークの波に呑み込まれる。
「。大丈夫か…?」
「うん。」
(こういう時、ホント頼りになるんだよなぁ…)
楽しいことは好きだが、人混みは好きに離れない。怯んでしまいそうなところにしっかりと鉄平は壁となり、人の波に巻き込まれないように導いてくれる。
人より大きい鉄平の大きくて頼もしい背中を見詰めていると、頬が熱くなるを感じる。
(いかん、いかん。あんまり惚れているところを見せると、すぐ調子に乗るからな…)
「なあ、」
「!?なっ……、なに…?」
突然でもないが鉄平に話しかけられ、はキョドる。
「そろそろ土手の方に移動しよっか。足も疲れてきただろ?」
「そ…そうだね。花火も良いところで見たいし…」
気持ち早めに土手に腰を落ち着かせる。まもなく打ち上げのアナウンスが鳴り、まずは一発目が空高く打ち上げられる。下を流れる川にもキラキラと反射して光が弾ける。
「綺麗…」
「…ああ」
身体のなかに響く轟音。
空高く弾ける火花。
大輪の花が咲き、儚く夜空を散りばめる。
ロマンチックな気分になって鉄平の肩に頭を傾け、寄り添うように座ると心なしか握られた手のぬくもりが強く紡がれたような気もする。
最後は大きな花火が打ち明けられ、ゾロゾロと会場を後にする人たち。も揃って立ち上がろうとしたが、手を握る鉄平はいつも以上にギラギラとした目を射ていた。