【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第19章 黒子のバスケ✿木吉鉄平「浴衣」
夕焼け雲が朱く染まり、ねっとりとした夏風が吹くとリンっとした風鈴の音がまた響く。今日は恋人の鉄平と納涼祭りに行く約束をしており、は新調した浴衣を手に取った。
「絶対覗かないでね。フリじゃないから、絶対に覗いちゃダメだからね」
「うん、分かった。楽しみ待ってるな」
鉄平の家に来ていたは最後まで睨みを利かして襖を閉め、鉄平は終始満面の笑みで見送る。鉄平と一緒に暮らしている祖父母は朝からお盆旅行に出掛けており、は茶の間のスペースをかりて一人で着付けを行う。
「これをこうして……」
最初は一人で着こなせなかった浴衣も今では一人で着れるようになる。髪型は来る前にセットしているから、多少整えるだけで準備完了。
最後に色付きリップを塗って、鏡で最終チェックをする。
「これでよし……!」
襖を開けるとTシャツ姿からストライプ柄の浴衣に着替え終わった、鉄平が顔を出す。分かってはいたが襟が"左前"になっていた。
「お、。浴衣姿になると一段と激かわ、」
「鉄平……。また"死人前"になってるんですが」
「あ~…。これはより先に死んでも、気付いてもらえるかな~って」
「早く成仏して下さい。もう……相手からみて"y"に着なさいって言ったのに」
鉄平の帯を解きなおし、正しい浴衣の襟に正す。「これでよし…!」と出来上がった拍子に胸を叩くと、ちゅっ…と音を立てて唇を落とす。
「キスしたくなっちゃうな。その唇」
「……もぅ、リップとれちゃうじゃん」
「へへっ それじゃあ納涼祭にレッツゴー」
相変わらずマイペースの鉄平はにんまり笑顔を零し、下駄を履いて会場に向かった。