【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第4章 ハイキュー✿黒尾鉄朗「年上男」
黒尾とは中学からの顔馴染みで話す機会はあまりなかった。高校1年の時、ある先輩をキッカケにが話し掛けてくるようになった。
「クロ!先輩、なにが好きだって言ってた?」
「あー…」
要するに仲介人ってやつだ。
「おにぎりはおかか派だって」
は美人か可愛いかっていうと9割方美人に当てはまる。長い黒髪が女性らしさを強調していた。小さな顔には黄金比で目と鼻と口があって目はちょっと気が強めな感じ。
黒尾はそんな彼女に淡い恋心を抱いていたが一瞬で粉砕され、いつも彼女は恋人or既婚者がいる年上男を好きになっていた。
「ひっく……ひんっ」
「急に呼び出したかと思えば何だよ……」
そんなある日、その先輩と無事付き合えるようになったが二股ってやつで、それでも良いとは付き合い続けていた。最初の彼女にでもバレたのかと思ったが…。
「先輩に…メールで受験勉強が忙しいから別れようって言われた。ひっく……あっちの彼女とは、付き合い続けてるのに…ひっく……私だけ、私だけ捨てられたぁぁ」
「…あー…よしよし。……可愛そうに」
──あんな股掛けの先輩のどこが良いんだよ。俺より背ぇ低いし、弱ぇし、私服ダセぇし、イケてねぇし、何がそんなにあの先輩がいいのか男の俺には分からない。
黒尾は諦めきった色での頭に手を乗せる。
(小っせぇ頭……)
同年代である自分は見向きもされない。今までどんな男に惚れてきたか根掘り葉掘り聞いて余計に自分を傷付けた。傷口から黒い液体がどんどん沸いてきて感情が淀み、猫の皮を被ることを決意する。
「………慰めてやろうか?」
は涙を腫らした目で黒尾を見る。
「俺のセフレになれよ」
それから都合の良い肉体関係になった。性格もそうだが身体の相性も良く、は男に飢えているのか、誘えば女の子の日じゃない限り相手をしてくれる。
いつか自分を想ってくれるんじゃないかと最初の頃は期待していたが…。
「……は?おまえ…その髪……」
は突然、腰まであった長い髪を肩よりも短く切って姿を現す。
「コーチがね、短い髪の子が好きだって言ったから切ってきちゃった」
「…」
新婚ホヤホヤのコーチのため。
黒尾はもはや言葉を失った。