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【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。

第16章 ハイキュー✿黒尾鉄朗「アイワナビー」


振り向かないつもりだったのに後ろ髪を引かれたような気がして振り返る。



──……だから、

……………なんでお前は…、



居なくなってたと思ってた姿がまだそこにある。距離があって、涙も視界もぐちゃぐちゃなのにアイツの姿だって分かっちまう。



──……なんでそこにいるんだよ…ッ



袖で顔を拭って、距離は近付かないまま遠くを見つめ合う。



──…ああ、そうか……。

アイツは、俺より何倍も気持ちを隠すのが上手なんだ。だから俺は気付けなかった。親のことも、俺を頼りにしていたその気持ちも……。

今ようやく理解した。



「どんだけ強情なんだよ……ッ」



はずっとそこから動かないまま足を踏み出そうとしない。たぶん俺が行かないとアイツはずっと動かない気だ。

歩いてきた道を戻っていくとの顔がハッキリと見えてくる。

笑っちまうくらい泣いてやがる。
なんだよ。ホント。
人騒がせなやつ。

「言えよ。なあ、……。俺のこと……好きなんだろ?」

「っ、……っく…」

「ここまで戻ってきてやったんだ。お前が言わねえと俺ら一生このまんまだかんな」

「…う……っ、ひっく…」

黒尾はの触れられる距離まで戻り、涙をしきりに拭うを見下ろす。ようやくちゃんと向き合ったような気がして気持ちに余裕が見えてくる言動だ。

「…」

「……うっさい。ひんっ…」

うっさいって何だよ。せっかくここまで戻ってきてやったのに。人前でキスすんぞ。

「……………」

それでも言おうとしないの強情っぷりは見事なもので、黒尾の方が根をあげて後頭部に手を添えて、下からのぞき込むように唇を塞ぐ。

もう気持ちを知ったからには我慢しねえ。
離れたくない。

「今夜はもう帰さねえから…──」

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