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【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。

第16章 ハイキュー✿黒尾鉄朗「アイワナビー」



「だからごめん。ずっとそんな風に利用してて……」

「……ぃや、うん…。俺の方こそ…なんつーか、ごめんな…」

年上男に異様に固執するのも何だかわかる気がする。振り向いてもらえなくても、俺より頼りになるような男だったような気もするし。

(くそッッ………悔しい…。浮かれてた自分が馬鹿みてえだ…!!)

もしかしたらワンチャンあるかも知れないって、ほんの少しだけ期待していた。セフレ、寂しさを埋める存在…、ほかに何があるってんだよ。自分ばっかの気持ち押し付けて想いなんて口にしたらそれこそ痛ぇ。

痛くて痛くて悔しいほど自分が憎い。

早く気付いてやりたかった。こんなんじゃ一番ふさわしい奴になんて慣れっこない。やっぱり俺じゃ駄目なんだ。俺じゃあコイツの隣りに居てやれない。どんなに近くで見ていても気付いてやることが出来なかった。

「………ッ」

ギリッと奥歯を噛みしめて、浮かれた想いを噛み砕く。もうコイツの一つ一つに舞い上がっちゃ駄目だ。
もう忘れよう。
忘れたい。
コイツのこと……いまは思い出ごと全部、忘れちまいたい。

鞄の中から密かに持ってきた、あの日渡せなかったものをテーブルの前に置く。

「……これ。卒業式の日に渡せなかったやつ」

何度心の中で思っていても好きだと口にできない。

「持って帰っても良いし、捨てちまってもいいから…貰ってくれ」

もう未練がましい気持ちは残したくない。

「最後にお前の話し聞けて良かったわ」

これが俺の精一杯の気持ち。

「話してくれてありがとな」

無理やり笑顔を作って、もうアイツの顔なんて見れなかった。ただ手はそのネクタイをそっと手に取って、「ありがとう」と口にする。

これで、ホントにホントのお別れだ。



駅までの道は短かった。

「じゃあな。お元気で」

「うん。クロも元気でね」

「おう…」

さようなら。
、俺はお前が好きだった。
ずっとお前のことが好きだった。

ゆっくりと踝を返して駅じゃない方向に歩き出す。

俺のこと少し頼りにしてくれてありがとう。
俺に笑いかけてくれてありがとう。
俺に話してくれてありがとう。

卒業式に泣けなかった涙がボロボロと零れだす。試合に負けた時より止まんないくらい大量にあふれ出てくる。





 ……、




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