【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第16章 ハイキュー✿黒尾鉄朗「アイワナビー」
「もぉ…それじゃあ勝敗の意味ないじゃん。手の動きがやらしい。セクハラ」
「マッサージしてってそういうことじゃねーの?俺は久々だし、楽しみにしてたんだけど」
「性的マッサージがお好みなら他の店行ってくだサ~イ」
「ちぇー…ノリが悪ぃなあ」
そんな冗談交じりの会話をしつつ、黒尾は何気ない日常に満足したように笑みをこぼす。
「……クロはさ。試験終わったら学校来るの?」
「あ?んなもん行かねーよ。かったりぃし。お前は例のコーチに会うために毎日行くんだろ?」
「そりゃね。私の好きな人ですから」
──…好きな人。
黒尾は自分から口にしたが、やはり何度も感じるギュッと締め付けられるような苦痛が走る。そんなの横顔を目にやると、少し虚ろな目で地面を見詰めていた。
「あのさ」
「ん?」
「卒業式の日、ボタンとか誰ももらってくれる人いなかったら私にくれる?」
「…!!!」
その言葉の意味を理解するまで時間がかかり、少し遅れて反応を返す。
「悪ぃな。俺、意外とモテるんだわ。特に可愛い~後輩ちゃんから」
「え~嘘だぁ…」
「え~嘘だぁ…って失礼だなコラ。これでも音駒バレー部の元部長張ってたんだぜぇ?普通のヤツより知られてやらぁ。……なぁに、俺の記念品ほし~のぉ?」
「まあ…そうだね、記念かな。逆に音駒バレー部の元部長なのにボタン一個も無くならないのは恥ずかしいと思ったから貰ってあげようと思ったの」
「う~っわ、厭味ぃ」
まさかから記念品が欲しいとは言われるとは思ってなかった。内心すごく嬉しい。
(やっぱすげえ好きだわ、コイツのこと…)
諦められない不連鎖の恋。こうやって喜ばせてくるから離れたくても離れられなくなる。自分がどうにかしてやらないとって思わせてきて、引き止めたくなる。
(ホント、性質の悪い小悪魔ちゃんだぜ………)
「なによ。人の顔ジッと見て…」
「い~や。一つくらい余るだろうから記念になんかやるな」
「……うん。汗もひいたし、プリクラ撮ろうよ」
「いいぜ」
一つでも青春の思い出を増やしたい。
たぶん高校終わったらお別れな気がする。セフレでも男友達でも、最後に選ばれるのは俺じゃない。
お前が好きになった年上男で…、その相手がお前を一途に好きになった瞬間だから。