【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第16章 ハイキュー✿黒尾鉄朗「アイワナビー」
中学校のアルバムをめくると懐かしい顔ぶれが登場する。中学の時から一段と…アイツは輝いている。それが一目惚れだというのを自覚するまで時間が掛かったのが懐かしくてほろ苦い。
「……やっぱ、違ぇよなあ…」
他の女子より何倍も可愛く見える。
失恋して音信不通になって時間とともに忘れかけて、段ボールの中にしまっていた当時の思い出がどんどん溢れ出してくる。
「来んのかなァ、アイツは……」
3年の中学時代は同級生だった。
薄れかけていた気持ちが騒ぎ出し、淡い期待を持ってしまう。だが、「ごめん」と謝って一方的に連絡を切ったやつだ。顔を出すはずもない。
とにもかくにも久しぶりに、たっつんに電話をかけた。
「あ~俺俺、俺だよ。俺俺詐欺じゃねえって。黒尾。くろおてつろ~」
─『お~、クロか。久しぶり。全然声変わんねえな』
「ってかお前しゃがれてね?年寄り爺さんっぽいぞ。もう頭頂部お出ましか?」
─『電話の喋り過ぎでだボケ…!昔話に花咲いちゃってな。クロ、最近どうよ?』
「あー、俺か?俺は……──」
喋り過ぎのたっつんと長話してしまい、ヤツの声帯をまたも甚振ってしまった。悪気はない。というかたっつんが自ら喋り続けて切ろうとしなかった。
黒尾はもちろん同窓会に参加、するだ。
アイツが来るかもわからないし、女子は女子で電話を回しているらしい。アイツに会えなくても同級生と久しぶりに昔話を咲かせたい。
アルバムを閉じるとひらりと透明封筒に入っていたプリクラが舞う。
「……………」
最初で最後のデート。
不意打ちでされた俺の一生の宝物。
当時の思い出が甦る……。
◇
「あ゛ァ~……終わったァァ~」
センター試験を終えて自己採点をして、予備校の先生にはやることはやったと報告しに行った。あとはもう合否を待つのみ。
その日は祖母が受験を頑張ったお祝いに、俺の好きなモンを振舞ってくれた。明日はとデートする。あのメールを見たときはドキッとしたが一瞬だ。
"街でブラブラ"が"街でラブラブ"に見えたとか、勉強のし過ぎで頭がイッちまってる。