【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第16章 ハイキュー✿黒尾鉄朗「アイワナビー」
卒業式当日。
クラス担任から一人ひとり名前が呼ばれ、の返事が聞こえる。落ち合う時間や場所は決めていないが、のためにこれだけは誰にも渡さねえって決めてる。
…その前に、はホントに俺に興味がないらしい。
黒尾はが好きだと自覚してから、ほかの可愛い女子に告白されてもなびかなかった。部活で主将張って、普通のヤツよりは知名度はあったから、特に下級生から告白や手紙をもらうことが多かった。純粋なファンも含めてだが。
うちの制服はブレザー。学ランではないから第二ボタンよりネクタイが本命用ってことになっている。も卒業記念の一部として欲しいとなぜ言いだしたか、──…主将で知名度もあるのに誰ももらってくれなかったら可哀想だから、だ。ひでぇだろ。普通に傷付いたわ。
在校生と卒業生の答辞が終わり、練習した卒業ソングを合唱する。
─「がぁぁ……っ、にぃい…」
─「……さぁぁ、…っどぉ゛ぉ゛」
(……な…、泣けねえぇぇッッ)
女子はおろか隣りに立っていた男子が大号泣しており、黒尾は引きつり顔を残したまま歌い終える。
高校での思い出がないわけではないがクラスに帰って担任の話を聞いても泣けず、最後に泣いたのは…ごみ捨て場の決戦に負けたときだ。男は基本、涙を見せちゃいけないと思ってる。格好悪ぃし。
─「クロ、写真撮ろうぜ」
「いいぜ。うぇーい」
ふさげあって写真を撮ったり、卒業アルバムに練習がてらサインを書いたり、また会おうなと軽く小突き合ったり。
教室を出るまでボタンやら何やらいくつか無くなった。
─「あっれぇ~?まだネクタイ残ってるな。例の"他校の女の子"のために取っておいてるのか?」
「まァな。本命にはやっぱ持っててもらいてぇし?」
"他校の女の子"というのは…まあアレだ。
前にが階段から落ちて入院したっていう時、俺は慌てて学校を飛び出した。だから要するに噂になった。
俺は完全にすっとぼけていたが、早々に退院したはサラッと「実はクロの好きな他校の女の子との仲介人をしている」といって皆を納得させる。
まあ今になって"他校の女の子"がこんなところで役に立つなんて思わなかったが…。