【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」
キスもまだ山頂での一度きり。
今日は二人の記念日、になるはず。
はじめての遠出のデート、はじめてのお泊り、はじめてのキス、はじめての──
(がんばるぞっ!)
広げたタオルで胸を隠し、緊張した面持ちで扉を開くと傑くんの広い背中がみえた。
水滴を弾いている綺麗な肌。
傑くんは濡れたタオルを絞りあげ、引き締まったお尻はタオルを巻いて隠れてしまった。
「も体を軽く洗ってしまいなよ。私は湯加減を見てくるから」
「ありがと」
傑くんに監視されながら体を洗うのは気まずい。
それは羞恥心をあおる一種の視姦プレイな気もする。
入る前に性的に接してきたとしても傑くんはきっと気を遣ってくれたのだろう。
そうに違いないと思い込むことにする。
「よいしょっと」
髪を濡らさないように縛り上げる。
体だけ軽く洗って、冬の寒さと傑くんと一緒にお風呂に入る気持ちに気合いを入れなおし、外扉を開けた。
「うひいっ、寒い寒い寒い寒い」
寒気にあてられ「わー、きれい!」なんて余韻に浸かる暇もない。
口から零れる白い息。
縮み上がる心臓と毛穴。
ガクガクと安定しない下顎。
──外、寒すぎる。
傑くんの姿をみつけて、しゃべる余裕もないまま右脚、左脚と体を湯に沈めた。
「ぉおおお…生き返るっ」
寒すぎて首まで浸かった。
傑くんも「まったくその通りだ」と寒さに堪えたリアクションをしており、寒気と湯加減に慣れるまでゆっくり寛ぐことにする。
露天風呂は白い濁り湯で硫黄のにおい。
少しトロミがあってお肌がすべすべになりそうな温泉。
体の芯まで温まっていくと内側からポカポカしてきて、鎖骨まで出しても平気になってくる。
向かいに座っている傑くんに目をやると微笑まれる。
「癒されるね」
「うん。いい気持ち」
湯けむりと森の中の趣のある温泉旅館。
外も静かでのんびりできて、足を延ばして入りたくなってくる。
「傑くん」
「ん? なんだい?」
「そっち行ってもいい?」
「ああ。どうぞ」