【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」
求めたいことが頭で考えるより先に出た。
──そっか。
私にとって傑くんとのキスは、はじまりの合図。
どんな妄想でも必ず傑くんとキスをしていた。
キスの味も感触も知らないのに、傑くんとベッドの上でたくさん抱き締め合いながらキスをした。
だから、夢の筋書き通りにいかなくて納得できなかった。
傑くんは何も言ってくれない。
「傑くん……っ」と喚きに近い声をあげると、傑くんは静かに「」と名前を呼ぶ。
「私も、と口付けしたくて気が狂いそうだ。を溺れるまで甘やかしたい。を誰よりも深く愛して、可愛がりたい。──けど、今はできない」
分かっている。
傑くんの言いたいことはよく分かっている。
追試で合格点を取れなかったから、傑くんにもこんなに切ない顔をさせてしまっているんだって。
「ごめん。ごめんなさい、傑くん……っ」
「いいんだ。これが最後のテストじゃない。着実に力を付けていくために勉強して、今度は合格点を取って、の唇を正面から奪いたい」
「うんっ」
たかがテスト、されどテスト。
学生は勉強することが仕事なのだ。
傑くんの広いふところにギュウっと閉じ込められ、後ろ髪を撫でられる。
「今度のテストは、頑張って8割とる」
「通常試験は平均点でいいよ」
「平均点でいいの?」
はキョトンとした。
てっきり通常の試験でも8割を目標にやっていたと思ったが、傑くんはの顔をみて言った。
「ああ。平均点を取れればのお母さんも納得してくれる。今度は赤点とらないよう、早く私に会いにきて?」
暗記する前にも傑くんは、勉強時間に嫉妬心をみせた。
──勉強よりも君と一緒にいたい。
傑くんは大人びているのに子供らしい心を垣間見せ、はギュっと抱き締め返す。
「うん。もう赤点とらないよう、勉強教えてください」
は改めて傑くんに家庭教師をお願いする。
傑くんは期待する眼差しを向けて「ご褒美は?」と聞いてきたので、「続けて」と傑くんに身をゆだねる。
「それじゃあ点数換算で、は7割だったから30分ってとこかな」
「どういう計算?」
「それなりのご褒美だから」
にんまり答える傑くんは答える気はなさそうだ。