【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」
とりあえず全部埋めただけで暗記がすべてじゃない。
二日で11教科は無理がある。
それができたなら一夜漬けで赤点補習もなくやり過ごせたわけだし、前よりは成長してできたけど、どうしてその答えになるのか疑問だらけで終わってしまった。
傑くんが根本的なところを教えてくれたら覚えられると思ったのだが、今回の追試は意味があるものなのか、そもそも疑問である。
「このチャーハン、うまっ!」
傑くんは料理もできるのか。知らなかった。
いや、小さい頃にホットプレートでホットケーキやたこ焼き、チーズフォンデュや餃子を作って食べたことがある。
あれは果たして調理といっていいのか分からないが楽しかった。
今でも家族がそろった日はしているけど、傑くんの家族と一緒になって食卓や庭を囲むことはなくなった。
キャンプで出掛けたときも楽しかった。
私のせいで家族ぐるみの付き合いを台無しにしてしまったけど。
「最低だ。わたし……」
あとで母親と父親にも謝ろう。
傑くんの両親にもきちんと謝らなきゃいけない気がする。
傑くんの両親に会ったときは挨拶していたけど、その近くに傑くんがいた時は無視をして逃げた。
私だけが一方的に敵意むき出しだった。
母親はと傑くんと仲が悪くなった原因を探ろうとする。
私が学校でいないとき、たぶん母親同士で話していたのだと思う。
母親と傑くんが一緒に話しているところを見たときは嫌な気分になった。
──傑くんはいつ私の気持ちに気付いたのだろう。
最初からではなかったはず。
母親は私の気持ちに気が付いたから私への対応が変わった。
最初はケンカだと思っていたから「仲直りしなさい」「話し合いなさい」「可哀そうじゃない」「いつまで意地張っているの」と顔を合わすたびにうるさく言ってきたけど、いつの間にかそれを言わなくなった。
傑くんは正直いって分からない。
原因から一番遠ざかって過ごしてきたから変化に気付くこともできなかった。
「おまたせ。」
開けっ放しのリビングドアから傑くんが解答用紙を持ってきて、まだ家庭教師モードなのか、インテリ眼鏡を掛けっぱなしだった。