【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」
主要教科と副教科をあわせて11教科。
──取るなら8割。
ご褒美はそれなりにくれるみたいだけど、傑くんとキスがしたい。
押し倒されたときは本当にされるのかと思って心待ちにしていたのに、唇の淡い感触だけ残しておあずけを提案してきた。
この二日、傑くんとキスしたいがために頑張ってきた。
あわよくばそれ以上の階段をのぼりたい。
「うん~…と」
覚えたてほやほやの記憶を探る。
傑くんがおあずけしたのは、自分に魅力がないというわけではなかった。
はじめの一歩をクリアするための母親からの試練。
なんとしても合格点を取りたい。
でもやっぱり思い出せないところも多々出てきて、運まかせに書いたり、勘で書いたり、シャープペンが倒れた占いを信じて解答欄を埋めていく。
とりあえず全部埋めた。
問題文を理解してないから正解なのかも分からない。
暗記したものを一気に噴出させたから、さっきまで謎に満ち溢れていた自信もどこかに消し飛ぶ。
「傑くん。全部書いたよ」
後ろで読書していた傑くんは立ち上がり、答え合わせはしてないのに「よく頑張ったね」と頭を撫でて褒めてくれた。
「私が言うのもなんだけど。傑くん、優しすぎなんじゃないかな」
「そうかも知れないね。嫌々やるより少し前向きに取り組めたのなら、私は万々歳なんだけれど」
そう言われて気付かされた。
やりなさいムードだとやる気が湧かなかったのに、いつの間にか自分から机に進んで向かっていた。
部屋に傑くんがいるからやらなきゃ、という先入観は多少あったけど、それだけじゃない。
「わたし、自分から勉強やってた…!」
「その姿勢が何事にも応用できる。お腹が減っただろう? 台所を借りて、簡単チャーハン作ってきたから良かったら食べて」
「えっ、傑くんの手作りチャーハン!? お腹減ったっ!」
お昼ご飯のいい時間帯であり、もう食べてきたという傑くんを置いてリビングに降りる。
傑くんの気配が移動したことに全く気付かなかった。
脳みそフル回転でそれどころじゃなかったんだと思う。
はダイニングテーブルではなく、テレビをみながらリビングテーブルの前で食事を摂ることにし、脳内反省会をする。
「8割…、880点…、届かなかった気がする……」