【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」
キス待ちの顔をして暴走した妄想を繰り広げる。
エッチは気持ちいいとか痛いとかあるみたいだけど、傑くんがくれるのは絶対に気持ち良いものだってわかる。
傑くんほど優しくて格好いい人はこの世にはいない。
お隣さんに生まれてよかった。
無駄にあがいて遠回りをしてしまったけど、傑くんのそばにずっと置いてもらえるわけだし、いつかは母親と父親のように結婚して──
(………………あれ。なんか、焦らされてる?)
いつまで経っても唇が寂しい。
もしかして、ムードを壊す真似をしてしまっただろうか。
傑くんの体温を近くに感じるのに何もしてこなくて、これほど不安な時間はなくて、このまま目をつぶっているのもキツかったから恐る恐る目を開ける。
目を開けたら、実は揶揄っていたと悪夢が訪れるのだろうか。
そもそも夢だから進まない……。
いやいや、夢だったら何としても自分の上手い方向に転がしたいところだが、夢にしては現実味を帯びているから方向転換はむずかしい。
それに母親がリアルに怖かったし、これは夢ではないと断言できる。
「すまないね、」
「え」
──まさか。
ここまできて望んでいない展開。
傑くんは体を起こしながら「──私としたことが本来の目的を忘れるところだった」と甘いムードを跡形もなく消し去り、懐に忍ばせていたインテリ眼鏡をかけ、フレームを押し上げてから「キスをするのは追試験で8割取ってからにしよう」と続けて言った。
「追試!? 8割ぃいいい!?」
中間は5月、前期期末試験は7月に終わった。
夏休み前に補習と課題と追試の三大フルコースを終えたと思ったら、続いてやってきたのは親&担任vs生徒の三者面談。
全然楽しくない学校イベント続きでヘトヘトだったのに、傑くんはご褒美をくれるどころか更なる試練を与えてきた。
「傑くん…」
「なんだい?」
「私のこと、きらい?」
流石に無視していたのを根に持つ気質ではないだろう。
家庭教師をきっかけに傑くんと恋人同士になれたのは大変喜ばしいが、甘々な展開を期待させておいて、ここでおあずけを食らうのは視聴者的にもあまり感心しない。
「好きだよ」
「だったら!」とは堰を切ったが、傑くんは「甘やかしたいのは山々なんだけど、お母さんとの約束でね」と母親の名前を出されてしまった。