【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」
傑くんはニコリと微笑んで触れた指に口づけを落とす。
緊張のあまり、ゴクンと生唾の音を出して飲み込む。
口づけた指先から薄い唇がゆっくりと離れ、今から妄想でしてきたことを傑くんが実践してくれる。
傑くんの顔が肩の横まできてくすぐったい。
傑くんの匂い、傑くんの体温、傑くんのゴツゴツした指先が絡みあって、耳の横から火が付いた傑くんの呼吸が聴こえる。
「君をずっとそばに置いておきたい」
至近距離での告白。
もう逃がさないと思わせる距離で傑くんの想いが全身を駆け巡る。
これを「うん」と言わずして他にあるだろうか。
嬉しいはずなのに涙が止まらない。
変わらない笑顔に思い込みで傷付いて、勇気をふり絞ってドアを開けて、片想いだと思っていた傑くんに抱き締められる。
掴みどころのない笑みを浮かべることが多くて、周りに目を向けるのが上手で、男前で見惚れてしまう整った顔立ちをしていて、自分よりも他人のために働く自己犠牲なところもあるけど、そんなお兄ちゃんだから好きになった。
傑くんの性格を分かっていたから素直になれなかった。
傑くんはモテるのに彼女を作る素振りはなくて、八方美人で誰にでも平等に接していたのを感じていたから気持ちを吐き出せなかった。
こじれるのは目に見えていたのに、傑くんが妹扱いしてくれる優しさにどこか甘えていた。
散々自分勝手に振り回して、全部が全部、都合よく聞こえてしまうけど。
「」
「傑くん…」
傑くんの熱を感じ、心構えをみせて目をつぶる。
指と耳に触れあった唇は恋人の証とされる場所を目指す。
これが私のファーストキッス。
(傑くんに全部捧げたい……!)