【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」
──母よ、あなたは鬼か。
傑くんの横に座れってか。
(あ。でも、傑くんに顔を見られなくて済む…!)
母親に泣いていることがバレても構いやしない。
女同士、気付いたとしても話したくない空気を察してくれる。
そういうところは父親と違って大好きだ。
母親の気の利かせたポジションに感謝しつつ、真横にいる傑くんに視線がぶつからない端っこの空間に腰を下ろす。
(傑くんが隣にいて、心臓が苦しい…)
間接的に失恋したとはいえ、すぐ心変わりできるものでもない。
横に好きな人がいて平常心でいるなんて絶対に無理。
声を出したら震えそうな気がして、向かいに座る母親に視線を投げた。
「この前、担任の先生と三者面談したでしょう?」
「あ……うん」
親が学校に来るのだけでも気恥ずかしかった。
普段、担任の先生とも授業中でしか話さないし、指導室に呼ばれる問題児でもなかったから、担任の先生としてどんなことを思っているのか、どんな評価をされているのか、聞きたいけど知りたくない気持ちもあった。
実際始まってみれば、あれは親&担任vs生徒。
思い出したくもない。
「学年成績表を見せてもらったけど、の学年は何人いるのかしら?」
勉強できなくてすみません。
自覚しています。
本当に親不孝な娘で申し訳ございません。
「300人ちょっと…」
「中間テストと期末テストの順位、見ているわよね?」
じわりじわりと学力の低さを問い質してくる母親。
早く忘れたいと思ったのに居心地が悪い。
というか傑くんの前で勉強の話はやめてくれないだろうか。
小学校の頃はそこそこの成績だったけど、中学生になってガクッと落ちて、ギリギリで底辺高校に入学を決めた。
家で勉強するのはテスト前だけ。
あとは、先生に目を付けられたくないので課題をやるときだけ。
あえて言わせてもらうと、ノー勉強の不良生徒というわけではない。