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【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。

第51章 呪術廻戦✿夏油傑「家庭教師」



(あんなに分かりやすく避けていたのに……)

どうして傑くんは変わらない笑みを浮かべることができるのだろう。
気持ちをそっと崖から突き放された気分になる。
自分だけが露骨にあがき、悩みに悩んだのに、初めから傑くんに相手にされていないんじゃないかと虚しさが込み上げる。

「……分かった」

スカートの裾をぎゅっと握りしめ、洗面所に急ぐ。
一人になると堪えきれなかった涙腺がとたんに緩んだ。
顔を真っ赤にして、目から大量の雨粒を降らしている自分の姿が鏡に映る。

「うぇっ、ぐ…」

ひどい顔だ。
自分の泣き顔を見たらあまりのみっともなさに感情が冷めると思ったが、そう簡単に思い込んだ失恋は泣き止んでくれそうにない。
傑くんに直接言われたわけじゃない。
そうじゃないけど、変わらないものを見せられて傷付いた。

傑くんの目には「女」として映ってない。
中学生から高校生になっても傑くんにとっては何も変わらない。
──お隣に住む、妹みたいな存在。
傑くんは本物の妹みたいだって可愛がってくれた。
最初はこれ以上ないくらい嬉しかった。
自身も本物のお兄ちゃんだったら良いのになぁと思いながら懐いていたからだ。
けれど、たった一つの感情が生まれたことによって翻弄された。
自分は妹以上の存在にはなれないと現実を突き付けられ、今に至る。

「あんまり遅かったらこっちに来ちゃう」

雨だれを乱暴に拭って手を洗い、白目が赤いけど仕方がない。
母親にバレてもお見通しのはず。
どうして傑くんを家に招いたのかは分からないが、子供みたいな真似をいい加減にしなさい、ってことなのかもしれない。
母親は基本的に優しいけど厳しいところもあるから、たまに嫌いになったり面倒に思ったりもする。

「はあ…」

自分が行かなきゃ進まない話なのかもしれない。
ものすごく億劫だけど行かなきゃならない。
頑張れ。
やれるよ。

自分の心を奮い立たせ、リビングに赴くと用のカップが傑くんの隣に置かれてあった。
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