【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第50章 ハイキュー✿西谷夕「チェンジ♻」
いつものように2年4組の教室に入って、踝を返す。
(あっぶな~~!!普通に自分の席に着席するトコだったよ!!)
気を引き締めたはずなのにイキナリの失態。
教室の領域からは出たけど、その席に座る自分の姿を目に向ける。
(すごい…。フツーにしゃべってる)
もうそれは自分じゃない誰か。
笑うときは口に手をあて、オレじゃなくワタシという自分の姿。
「!!…」
気付かれる前に西谷の教室に入る。
もうすぐチャイムが鳴るから席に戻っただけだ。
そう言い聞かせて、自分は迷惑ばっかりかけているのではないかと意気込んだ自分に恥じる。
(…ちょうど机が冷たくて気持ちがいい…)
もうこのまま突っ伏していたい。
そしたら誰とも話すことは無くなるのだから。
そんなの、漢らしく西谷じゃないのは誰よりも分かってる。
(けど、できないからしょーがないじゃん…っ)
仕舞いには逆ギレモード。
気性が荒くて、浮き沈みが激しくて、面倒臭い女。
(…そんなの分かってるもん…)
可愛くなりたいけどなれなくて。
素直になりたいけどなれなくて。
強くなりたいけどなれなくて。
バレーをキッカケに、少しは嫌いなところが薄れたけどなりたい自分になれなくて。
「ハァ……」
クラスメイトにも心配させちゃって、西谷の違和感に誰もが気付いている。
いっそバレてしまおうか。
そしたら楽になるかもしれない。
いや、大変になることが多いかもしれない。
(…そもそも信じてもらえるかも怪しい…)
携帯を取り出して「入れ替わり」について調べようと思ったが、女の子らしい携帯を見せるわけには行かない。
授業を抜け出す…。
それはできない。
ただでさえ西谷は授業中も寝てるらしいから。
(迷惑かけないように、過ごさないと……)
自分のことばかり考えて西谷のことができていない。
このままじゃ不公平だから、できる限りのことをやっていくしかない。
簡単に…負けちゃ、ダメだ。