【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第50章 ハイキュー✿西谷夕「チェンジ♻」
──…階段から落ちそうになったさんを支えようとして、西谷も一緒に落ちたみたいなんだ。
西谷は下敷きになるように身を挺して、自分よりも身長が高い大きな私を守ってくれようとした。
「……わったしは、」
廊下で顔をすれ違うたび目があった。
ガン飛ばしあって、無意味な言い合いして、友達から犬猿の仲だねと笑われて…。
「私は…アンタのこと、」
いつからだろう。
入学して間もなかった。
おまえ、背ェデケぇのな!とニカッと笑われたのが無性に腹が立った。
女子と大して変わらない低身長のくせに。
私の悩んでるってこと知らないくせに。
コイツも同じこと私に言ってきた。
背が高い。
モデルみたい。
胸が大きい。
羨ましい。
ない人からしたら贅沢な悩みなんだろうけど、私はこの目立つ身体が嫌だった。
デカいから目立って二度見されるのが日常茶飯事。
背が高いからスポーツに有利なのを知って、気を間際らすために中学からバレーボールに打ち込んだけれど…。
今も、悩みは尽きなかった。
「──…なんとも想ってるワケないじゃない。私よりチビな人なんて、あり得ないんだから」
デカいと言われた私は、初対面の西谷に向かって「チビ」と返したのが口論の始まりだった。
男の子に啖呵切ったのだってアレが初めて。
自分がちょっと気性が荒いところも否めないけど、暴力的な男子と関わりたくなくて唇を噛んで我慢していた。
けど、西谷になんでか分かんないけど、いとも簡単にボッカーンって爆発したんだ。
「……そーかよ。悪かった」
「……、」
告白してきた西谷は謝った。
もう話すこともできなくなって静かな夜道。
西谷の家の前まで到着して「ありがとう」「じゃあな」とだけ交わして、私の背中がどんどん遠ざかっていく。
「……もう、なんで走るかなぁ…」
私の重たい身体なのに軽快そうに走って消えた。