【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第50章 ハイキュー✿西谷夕「チェンジ♻」
入れ替わった瞬間が分かった。
すべては急いでいたゆえに階段事故に巻き込み、おまけに下敷きにしたという…恥ずべき失態。
「ど…どうしよう。西谷、死んじゃったかもしんない…っ」
「いやそれは大丈夫だと思うよ。ちゃんと息してたし」
冷静なツッコミ。
ありがとう。
頭がパニックになって涙がじわじわ溢れてくる。
「…なんか、すげー違和感。女々しい西谷…」
「仕方ないでしょっ!中身は女の子なんだからぁ…っ」
「ああ…。そーだったな」
入れ替わった瞬間が分かっても、戻る方法まで分からない。
メソメソしててもなにも進まない。
制服のポケットにティッシュもハンカチもなくて、縁下が差し出してくれたものを使わせてもらった。
「ぁりがと」
「いえいえ」
縁下、なんてメチャクチャ良いやつ。
同じクラスだけど、こんな機会じゃなかったらちゃんと喋らなかっただろう。
胸アツになってまた視界が滲む。
「あとは戻る方法かぁ…。同じ状況下で階段から転げ落ちるってのは荒治療だし、怪我でもしたら元も子もない」
「病院に行くのは…?」
「内科外科系じゃないだろうし…。精神科、もしくは心療内科とかメンタルクリニックを勧められるだろうね。最終的にはお手上げですって」
「検査とかしたら分かるんじゃ…」
「いやいや、レントゲンでも脳波撮っても写らないし解決には至らないだろうね。そもそもそれが証明できたとして、新たな症例として実験台にされるかも…」
「ひィ~ッ!!!」
「ってこれは冗談。でも戻るまで生活していくのにお互いの家だったり、交友関係や部活だったり…。先の見えない解決策より、現実的なことをまず考えないと」
「……、」
そうだった。
戻ることばかり考えていたがすぐに見つかる気もしない。
いまだって完全にお手上げ状態。
なにをどう足掻いたって時計の針が刻々と進み、待ち受けるのは現実の世界だった。