【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第47章 ハイキュー✿菅原孝支「隣兄」
もっと周りを警戒すると思ったら、自分ちに帰るみたいにスマートに個室の鍵がしまる。
「な…んか、すごくあっさり……」
「俺…、人生で女子トイレ入んの2回目だわ~」
「ぅひえ!?そうなの…!?」
「ああ。小っちゃい頃、覚えてな~い?おまえがそうだなぁ…、年少さんのとき。お家に帰るまで漏れちゃう~ってなって、仕方なく一緒に入ってやったの」
「ええっ…うそぉ……」
そんな記憶ない。
トイレに一緒に入ったのって色々マズくないか。
「だから俺、こうやってお前のパンツ脱がすのもアレが初めてじゃないんだぜ?そん時はまあ…、俺も小っちゃかったから性的な意味合いはなかったけど」
「恥ずかしすぎて死ねる…」
「そう簡単に死ぬな。ってゆうかおまえ、こわいテレビ見たときも俺にトイレついて来いとか言って……。してる音、かなり聞かされたんだけど記憶ないの?」
「う~ん……」
考えても考えてもやはり記憶にない。
というか都合が悪いことは全部忘れてしまったのだろうか。
「世にも奇妙な物語とか、学校の怪談……。可愛い黒猫が出てくるアニメ、覚えてる…?」
「うんっ、餃子…!」
「それはアイツの晩御飯な。トイレに引きずり込む妖怪もいたんだけど、可愛い女の子が手ぇ伸びるやつがあってさ…」
「おまじないする話……」
「そうそれ!覚えてんじゃ~ん」
…思い出した。
あれはいま思い出しただけでもトラウマレベル。
電気消して寝るどころか、窓ガラスみるのも鏡みるのも怖くなった記憶がよみがえる。
「もう思い出させないでよ…!夜寝れなくなっちゃうじゃん!」
「じゃあ昔みたいに俺の部屋で寝る…?」
「うっ……」
痛いところを突かれる。
だってそれは一人じゃ寝れなくて、両親に泣きつくんじゃなく孝支の家にまで行って、添い寝してもらったからだ。外のほうがよっぽど怖いというのに、よく出ていったのもだと今更ながら思う…。
消したはずの記憶が蘇って赤くなった顔を隠した。