【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第47章 ハイキュー✿菅原孝支「隣兄」
やっと同じ制服が着れると思ったら、孝支は高校生の学ランに袖を通すのを目の当たりにする。
自分が高校生になろうとしたら孝支は卒業してしまう。
「忌まわしき3学年制…」
今もまだ小学生の時のように一緒に通学路を歩いてくれているけど、いずれは社会人になって離れ離れになってしまうかもしれない。そんな寂しさを埋めたくて、孝支の家に何度もお邪魔していた。
…ピンポーン!
「お邪魔しまーす!」
「ちゃん、いらっしゃい。ジュース飲む?」
「りんごジュース~!」
「はーい。じゃあ今コップに入れたげるからね~」
最近はもう、自分に家にいるより孝支の家にいる方が多い。それだけ入り浸かっているということ。…とはいっても孝支は部活動で帰りが遅くて、平日は夕食時に帰ってくるから一瞬だけなんだけど。
「めげてもしゃーない。今日は数学のプリントを終わらせ、そのあとゲームをやろう!ふぁいっおー!」
無駄にテンション高く、シャーペンの芯を出す。
1日1回は顔を見ないと気が済まない。
小学生の頃はここまで依存してなかった。
要するに自分のなかで中学と高校の壁が大きく感じてしまって、それだけショックだったってことだ。
「よし。プリント終了!次はレベル上げ~」
喉を潤してから、ゲーム機を起動させ孝支がいつも寝ているベッドに寝そべる。
…いつ来ていいって言ってくれてるんだもん。
孝支に頭を撫でられるのを思い出す。
あんな風に撫でてくれるのは隣兄である孝支だけ。
両親や祖父母、親戚の人も撫でてくれるときがあるけど、結局は孝支の優しさと比べてしまう。
「…!」
わずかに玄関の扉のしまる音が聞こえて、孝支が帰ってきたと思って階段から上がってくるのを待つ。
「お。ただいま~、」
「おかえりなさいお兄ちゃんっ」
姿が見えたら一緒に笑顔になって。
サラサラと頭を撫で、寂しい気持ちが一気に消え去って満たされる。
「おまえ……。今日はちゃんと宿題やったんだな!えらいぞ~」
「私だってそりゃプリントくらい……」
「よしよ~し」
頭を撫でてくれることが嬉しくて。
ひとときの時間だけど、すごく幸せだった。