第2章 gimme one more kiss
風呂に入ってると頭がちょっとスッキリしてきた。
出逢った時は翡翠はまだ小学生だった。
まあ、そりゃあ小さい時から抜群に可愛いかった。
目は翔くんに負けずくりくりだし、屈託のない顔でいつも笑う。
困った顔も、怒った顔も、コロコロと変わる表情は見てて飽きなくって、ちょっとドジなとこもあるけど頑張り屋な翡翠。
小学生の頃からオレの後ろに引っ付いて歩いてた。
翡翠は入所してすぐ京都の舞台に一緒に来てて、面倒見てやれって会社の人に言われてたから一番最初は仕方なく一緒にいた。
町田と俺と翡翠でよく飯食って、レッスンも一緒にして、ほんとにずっと一緒。
女の子が入所したって聞いた時は社長なに考えてんのかわかんねーなって思ったけど、翡翠の歌声とダンス見たら社長の気持ちもなんとなく理解出来た。
めっちゃ楽しそうに歌うし、その歌声は伸びやかで。
聞き入ってしまうジュニアは多かった。
あんな小さい身体のどこからあんな声が出んだ?って1回呟いたら隣にいた翔くんにあなたもだけどね。って言われた。
ダンスはとにかく集中力が凄くて、ほっとくと何時間もぶっ通しで1人で練習してたりする。
かなりストイックなんだよなー。
その姿に男とか女は関係なく努力とその実力で、みんなから愛される存在になった。