第5章 毒占欲
人気(ひとけ)のない、工場地帯近くの展望台…
1年前の今日、ここで雅紀を手に入れた。
約束の場所に着くと、遠くからでも分かるほどキョロキョロと落ち着きなく辺りを見回す雅紀がいる
相「翔ちゃんっ…」
今にも泣きそうな顔をしてこちらへ走ってくる。
そのままキツく抱きしめられ、バランスを崩しかける。
「雅紀、ねぇ…教えてよ。まさきの言葉で…なんで怒ったのか…ね?」
もっと貪欲に俺だけを求めて?
もっと深く、俺を愛して?
相「昨日…ずっと待ってたんだよ…?」
「うん…」
相「あんな顔、俺以外の前でしないで…?」
「うん…」
相「ねぇ、翔ちゃん……俺以外のやつを頼らないで…俺以外のやつをその瞳に写さないで…」
涙を浮かべ俺の肩口を濡らしながら、まるで懇願するかのように必死に訴えかける
独占欲を剥き出しに俺を求める雅紀は、ギリッと歯を食いしばり更にキツく俺を抱き締める
「なぁ、雅紀?…俺は、俺には、雅紀だけだよ。雅紀だけしかいらないし、雅紀だけしか愛さない。」
これから先もずっと……
2人の命が朽ち果てようと、ね
「だから、雅紀が不安にならなくなるまで抱いて?」
雅紀の首筋に顔を填め誘う。
雅紀、もっと俺に狂って?