第9章 愛されサイダーほろ苦く。
「はっ、んァ…さと、だっこ…っん…う」
力の入らない身体ながら、キスをねだりつつ甘えるとずっと強ばっていた表情が少し綻び優しく膝上に抱き上げながらキスを返してくれる。
「ん、ふっぅ、かず…。」
「さ…とぉ、ンゥもっと…いっぱいちゅってして」
ぴちゃぴちゃと湿った音が響き渡り、少しまだここが玄関だったことを思い出す。
「ごめん、体痛いよな。ベッド行くか」
「あっちいったらもっと愛してくれる?」
「もうだめって言ってもやめねーからな」
「…ふっ、おじさんに誰が負けると?」
「………おまえ、今夜寝かさねぇ」
「……っぷ、ふふっ…」
柄にもないこと言うもんだからおかしくなっちゃって、身体が言うこと聞かないのにこの時間がずっと続けばいいのになんて願ってる自分がいた。
もっともっも愛して欲しい。
でも俺はそんな素直に言葉にできない。
だからね、俺は頭で仕掛けるんだよ。
炭酸みたいに俺の嫉妬がぱちぱち弾ける音がする。
Fin.