第5章 毒占欲
しばらく電話を掛け続けたら、着信が繋がった
「翔ちゃ「おいあいばか、お前また翔さん泣かせたの?」
しかし、聴きたかった声とは違う音声が機械を通して耳に伝わる…
この呼び方をするのは、俺の知る限り一人しかいなくて……
「これ、翔ちゃんの携帯だよね……ニノ」
震える声を抑えつけて冷静を装い会話を続ける。
ニ『翔さんなら泣き疲れて寝てるよ。今度は何して泣かせたの、こんな大切な日に…』
こんな時、翔ちゃんが頼るのは決まってニノで……
更に自信を喪失させながらも、
実は…、とボソリと何があったか話し始める。
昨晩、久しぶりにゆっくり2人で居られると家で待っていたのだが何故か連絡がなく、てっぺんを回って漸く帰宅してきたこと。
そして
友人から、顔の火照った翔ちゃんとそいつとのツーショットが送り付けられてきたこと。
「それで、それで……」
ニ『それでまた理由も言わずにイラついて、翔さん怒らせたわけだ。は、ほんとバカ…』
その通り過ぎて返す言葉もない…
ニ『相葉さん、あんたは…翔さんを、愛してるんでしょ?付き合ってるんでしょ?惚れた相手泣かせるなんて、男がなくよ…?』
「っ…そう、だな…うん…」
ニ『……伝言は?』
「じゃあ……」
あの場所で待ってる…
そう伝えて欲しいと頼み、電話を切る。
俺は、必要なものだけ持ち、急ぎ家を出て目的地へ車を走らせる。