第5章 毒占欲
- A side -
櫻「…なぁ、なんでそんなに怒ってんの?」
「別に、怒ってなんか……」
櫻「怒ってんじゃねーか!昨日の事は謝っただろ…?俺さぁ、そんなに信用ないか?」
「そーゆーことじゃないだろ!?俺は、俺はただ…」
信用してないんじゃない、ただ…
ただ、自分に自信が持てなくて…
ただ、自分の心が狭すぎて…
そんな自分に嫌気がさして…
そんな俺を知られて嫌われたくないだけ……
「もう…なんだって、いいだろ?!」
櫻「あぁ、そうかよ。もういい、時間の無駄だわ…。」
「…っ!?翔ちゃ…、」
怒った翔ちゃんは何も言わず、ドアを乱暴に閉めて外へ出て行ってしまった
待って…
そう伝えたかった言葉は…
虚しくドアに阻まれ、時計のカチリカチリと無機質な音が部屋を包む
「違う……違うんだよ……翔ちゃん……」
追いかけなきゃ行けないのに…
もう何回こんな事してるんだろうか…
今だって、直ぐに追いかけるべきなのに、ただ立ち尽くすしかできない、素直になれない自分に腹が立つ。
付き合い始めて1年目の今日。
そんな日にまで好きな人を怒らせて、
俺はどこまでダメ人間なんだろう
「電話…しなきゃ……」
そう思い翔ちゃんの電話に何度も着信をかけるが、電源を切っているようで繋がらない……