第1章 秘密の時間
暫くすると遠くの方から足音が聞こえてきて咄嗟に離れる。
「ふぁ…ん…はぁ、はぁ……」
酸素が回らず息を整えていると、大野さんは余裕そうな顔をして俺の口元を自分の親指で拭った。
そしてそのまま口に運び見せつけるように舐め取った。
大「んふふ、ご馳走様。じゃあ続きは…また後でのお楽しみね。」
そう言うと、俺の頭を優しく撫でて楽屋を出ていってしまった……
「嘘だろ〜……」
このもどかしさをどうしてくれようか……
「っと、その前に……」
うっすらと火照った顔と潤んだ目を隠すために、足音の主が来る前にソファーに寝そべって帽子で顔を覆うと楽屋のドアを開いた。
相「おっはよ~う!」
「うっさいよあいばかさん!!!」
と、つい今しがた素っ気ない態度を取られた大野さんへの感情が乗ってしまった…
相「ちょっと、にのちゃん!開口一言目からバカはなくない!?!」
「はいはいはい。」
相「もー!てか何かあったの?怒ってない?」
「何いってんですか~いつも通りでしょ~?」
普段抜けてるようにみえてこういうことには頭が働くんだから…
ほんと、気が抜けないったら無いよ…