第3章 君との距離、あと5センチ
色々と買い込んで、仕事を終えた足でマネージャーにおーちゃんの家で下ろしてもらう。
なんでも、ニノが既におーちゃんに連絡してくれてるみたいで、受付で事を説明して急いで部屋に向かう。
ピンポン、とチャイムを押すと覇気のない声が俺を迎え入れる。
「おーちゃん、大丈夫…???」
恐る恐るドアの隙間から顔を覗かせると気だるそうなおーちゃんが立っていた。
大「ん…ありがとうね…上がってよ。」
熱のせいで赤みを帯びた頬と潤んだ瞳で少し微笑むおーちゃんを見て、心がざわざわした気がする。
「…っ、あ…うん、お邪魔します。」
初めておーちゃんの家に来た……
なんか、芸術家って感じの家だ。
必要なもの以外ほとんど置いてないんだけど無駄にでかいテレビが主張してくる。
「あ、なんか食べた?軽く材料買ってきてるからもし良かったら作るけど…」
大「ぁ、…いいの?実は昨日の夜から食ってなくて…」
「え!?昨日の夜!?!!もう、ダメじゃん!!!俺ご飯作るから大人しく部屋で寝ててね!!!いいね!!!」
あまりの事態に思わず勢いよく軽く説教しちゃったけど、おーちゃんの身体が少しでも早く良くなるようにす為…と自分に言い聞かせる
おーちゃんはというと、バツが悪そうにして…へいへい、と買ってきたスポーツドリンクを片手に部屋へと戻って行った。
それを見送ったので早速おかゆとドリンクを作る。
中華だしにネギのたっぷり入ったお粥と、すりおろし生姜と蜂蜜のホットドリンク。
風邪をひいたらこれが一番
…のはず
「さってと!……作りますか!!」