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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第8章 欲張りな僕ら



「...その為に、必死だったし...頑張れたの。
いつも私を喜ばせてくれる、幸せな気持ちにしてくれる貴方に...私が返せる事はこれしかないと思っていたから...」
「だから、私に遠慮しないで仲間との時間を作って欲しかったのだけど...」

また突っ走って、空回りしてたんだね。
光忠さんの気持ちを考えているようで、的外れだったんだね。

もう一度、ごめんなさいと言うと素直な気持ちをくれた。

「...私も、寂しかった」
「自分でこうなるように動いていたのに、お馬鹿でしょ?だけど...光忠さんとは一緒に住んでいる様なものだし...いつでも顔を合わせることはできるから、我儘を言っちゃダメだなって...」

へへ、と自嘲気味に笑う君をたまらずに抱きしめた。
ああやっと君と眠れる、久しぶりだなあと言おうとして...前にもこんな事があったなと思い出す。
君も同じことを考えていたのだろう

「...2度も寂しい思いをさせちゃったね」
「ほんとだよ、もう」

むくれたふりをして、また謝罪をしようとした君の唇を自分のそれで塞いだ。君に謝って欲しいわけじゃないからね。
そしてずっと考えていた事、君にしてほしいことは

「次からは、君も一緒に話そう」
「えっ?」
「貞ちゃんや鶴さん、伽羅ちゃんと一緒に」
「い、いいの!?」
「当たり前だろう?...だからおいで」

仲間たちとのやり取りの中...ここに君がいたらと何度も思った。確かに彼らだけとのやり取りも時には必要だけれど...それ以前に君だって大事な仲間の1人だ。

「...そういえば...清光も言ってくれたんだった...私も俺たちの家族だって...」
「そういうことだよ」
「あああーー!私ほんと馬鹿だあー!」
「はは!」

またおんなじこと繰り返して何やってるんだろうと両手で顔を覆いながら打ちひしがれている姿に思わず笑ってしまう。
変に気を回しすぎて、遠慮してしまう性格が...どれだけ僕らに寂しさを与えているのか君は知らない。もちろん、僕らの事を考えての行動だと言うことは分かっている、ただちょっと度を越してしまっただけの事だ。
だから思い知ればいい...君が僕らにとって、僕にとってどれだけ大事な存在なのかと言うことを。
君が僕らに返せるものがない、だなんて心外もいい所なんだから。

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