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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第8章 欲張りな僕ら



「...どこかの誰かは悶々としているようだがな」
「ちょっと、僕が欲求不満みたいな言い方は止めてくれるかな!?」
「ふん...同じことだろう」

伽羅ちゃんとのやり取りに鶴さんと貞ちゃんが声を上げて笑う。間違ってない...のかもしれないけれどもさ!ああ、確実に違うと反論できないのが恥ずかしい...ただ、でも欲求不満というか...その一言で片付けるにはちょっと、うん...

「どちらにせよ、このままにしておく訳では無いんだろう?」

鶴さんがニヤリと笑いながらつついてくる。そうだね...このままいつまでもすれ違っているのはさすがに辛くなって来た。

「...さっさとどうにかしろ...あんたは慎重すぎる」
「そうだな!それに俺のせいで揉めるのだけは勘弁だぜ!」

動くのが遅い、と相変わらず辛辣な伽羅ちゃんに苦笑いをしながら貞ちゃんに心の中でそっと謝る。既に1度揉めてしまう所だった...なんて口が裂けても言えない。あの時の事はざっくりとしか伝わっていない。気を回してくれた加州くんには本当に頭が上がらない...。
ちゃんと主に話をしよう、格好悪い姿を見せてしまうかもしれないけれど...彼女と恋仲になれてからはそうしなければ伝わらない事もあると分かったから。





「主、僕だけど...今いいかな?」
「あれ、光忠さん?どうぞ、入って!」

夕餉を終え、湯浴みも済ませてあとは明日に備えて眠るだけ。その間も主のそばには常に僕じゃない違う誰かがいて。
ああ、ちょっとさすがに心が折れそうだった...今だってちょっと気持ちが落ちている...いや、諦めるつもりは無いんだけどね。
主も湯浴みを済ませたのか、夜着姿で迎えてくれた。そういえばこうして夜に君の部屋に来るのも久しぶりだ...。

「どうしたの?明日のこと?」

明日の任務についての打ち合わせだと思ったのだろうか、恋仲になってからはそういう勘違いをされずに共寝をしていたのだけれど...君の中ではその感覚すら無くなってしまったのかな...。

「...今夜は、君と眠りたくて来たんだ」

めげずに違うよ、と伝えると

「え、貞ちゃんと何かあった?」
「.........」

どうしてそうなるんだろう

「そうじゃないよ」
「ああ良かった、びっくりした」

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