第6章 ただ、会いたかった
あれから、私は光忠さんときちんと向き合って色々な話をした。そして2人で白金台攻略を延期する事を決めた。
まだ諦めたわけじゃない、けれど今の淀んだ気持ちのままに向かうのは良くないと思ったからだ。
それを伝えると皆が笑顔で賛成してくれた。
張り詰めていた本丸の空気が緩んだ気がした。
「なんだか久しぶりだね、こういうの」
「そうだねえ...僕、ちょっとだけ寂しかったかも」
夜。一緒の布団に包まって、久しぶりに2人で眠ることにした。光忠さんは私を抱きしめたまま離さない。すりすりと甘えるように頬をすり寄せてくる。
あの時清光に言われた言葉は相当堪えたようで...彼は私に何度も、君の思いに気付く事ができなくてごめんと言ってくれた。私は私で自分が悪いと思っていたから光忠さんに謝らせたい訳ではなくて堂々巡りになりそうだったのだけれど...なんだか可笑しくなってしまって2人で声を上げて笑った。
「...ちょっとだけ?」
「......すごく...かな...」
「うん、私もすごく寂しかった」
へへっと笑う私の髪を光忠さんの手が撫でていく。あまりの心地良さに眠気が増してくる。
「...ね、物吉くんが言っていたのだけれど」
「うん?」
「笑顔がある所に、幸運が来るんだって」
彼の穏やかで優しい声が心地よくてふわふわとしながらそっかあ、とまた笑う。
「君が笑顔になれたから、きっと大丈夫」
そうかな、そんなものかな
確かに色々思い詰めていた時は自分がどんな顔していたのかなんて覚えてないけど...きっとひどい顔していたかも。
「...光忠さん」
「なんだい?」
「太鼓鐘くんが来なかったのは必死になり過ぎた私の顔が怖かったからかもね?」
「~っ、もう...君って子は!」
2人してまた、声を出して笑った。
うん、なんだか大丈夫な気がしてきた。
その後、政府から戦力拡大を目的とした任務にて期日付きの戦場に太鼓鐘くんの霊力があると発表され...無事我が本丸の光忠さんも彼と再会を果たす事が出来たのだった。