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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第6章 ただ、会いたかった



「お~いみっちゃん!これどうすんだ??」
「ああ、ちょっと待ってくれ、今行くよ!」


縁側に座り、畑仕事に勤しむ彼らを眺める。
太鼓鐘くん......貞ちゃんがこの本丸に来た時の盛り上がりは凄かった。
ちょっと前には大包平さんも来ていたのもあり、長い間待ち望まれた者は常に皆の中心にいる。
私は付かず離れずで、その輪を見守っていた。


「あーあ。燭台切のあんな顔初めて見たよ、めっちゃ生き生きしてんじゃん」
「ふふ、そうだねえ私も初めてだよ」

どこからか現れた清光も、私の隣に座ると物珍しそうに眺める。

「...アレが、本来の燭台切なのかな」
「どうかな?」
「主もわかんないの?」
「わかんない」
「ふーん」

清光はそこまで興味が無いのか、深く聞いてくることは無かった。
結局の所どうなのかな、終始私の事を気遣い続けてくれた光忠さんは今でも変わらない。
けれどやっぱり、貞ちゃんへは特別な思いがあるのだとは思う。今だって、嬉しくて楽しくて仕方ないという顔をしてる。
ただそれを私へぶつけること無く冷静であった姿に改めて彼の内なる強さを感じた。

「やっぱり格好良いよ、光忠さんは」
「ええ~?あんなにっこにこなのに!?」

微妙に噛み合わない清光とのやりとりにそっと笑う。

「あんなの主にすら見せない顔なんじゃない?いいの?」
「うん、いいの」

いいんだ、だってね
私がずっと会いたいと思っていたのはそんな光忠さんの姿だったのだから。




***


「なあなあ、主と加州随分と仲良さげだな?」
「まあ加州君は初期刀だからね、主の事も本当に良く分かっているから...」
「おお?弱気か?」
「そんな訳ないだろう?負けないさ」


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