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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第5章 こう見えて私は恋をしていた



ああ、顔が見れない...ずっと俯いたまま、膝の上にあるリボンバレッタをじっと見つめる事しか出来なかった。
こんなに綺麗なものが、私に似合うと思ってくれたのか... 段々と不釣り合いに思えて悲しくなってきてしまう。

「...無様なんかじゃない」

不意に近くなった声に思わず顔を上げようとした瞬間、私は光忠さんの腕の中にすっぽりと収められるかのように抱きしめられる。
咄嗟のことに判断が遅れた私は慌てることすら出来ず自らの早まる鼓動に飲まれそうになっていた。

「み、み、みつただ、さ...??」
「...君は頑張り屋さんで...優しくて...素敵な主だよ」
「、」
「みんなそう思ってる...もちろん僕もね、だから...そんなに自分を卑下する事はないんだよ」

私の背中をぽんぽんとしながら、大丈夫、大丈夫と言ってくれる優しく穏やかな声は此処にいて良いのだと、私は私のままで良いのだと、全てを許してくれているかのようで。
もう、駄目だった。
我慢していた涙が一気に溢れ出し、止めることはもうできなくて。光忠さんにしがみついたまま、私は声を出してみっともなく大泣きしてしまった。
彼は呆れることも慌てることもなく、『よしよし』と受け止めてくれた、ただただ優しかった。





「...うん、いいね!やっぱり僕の見立て通りだ、とても良く似合うよ!」
「...あ、ありがとう...」
「どういたしまして!」

あれから
泣き止んで落ち着くまでずっと抱きしめていてくれた光忠さんは、上機嫌でリボンバレッタを付けてくれた。物凄く嬉しそうな、得意げな姿に思わず恥ずかしくなってしまう。
ていうか、一つだけ気になることがあったんだ。
この、リボンバレッタ...

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