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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第5章 こう見えて私は恋をしていた



そして、みんな可愛かった。綺麗だった。
いいね!魅力的な女の子最高!大好き!
いつだったか、同じ『燭台切光忠』を近侍に連れていた人が小柄に、背中まで伸びたふんわりとした巻き髪で目もクリっとしていて本当に可愛らしくて。
なにより燭台切と並ぶ姿、その身長差が最高だった。『お姫様と彼女を守る騎士』感が溢れていて本当に眼福だったのだ。
演練の相手なのをいい事に必要以上に話しかけたりして、光忠さんに苦笑いされたっけ。
光忠さんがそうなのだから、相手の2人も相当不審がったに違いない。

そのあと、1人になってから
ああ、同じ女性でもこうも違うんだなあ
なんてぼんやりと思うのだ。
あのお相手さんだけではなく、女性審神者さんと会うと大体。

光忠さんは、何も言わない。
多分言いたいことはあるんだと思うんだ、『君だってちゃんとすれば』だとかさ(もちろん演練の時は本丸にいる時よりもきちんとして行く。ただ、華美さは無い言わば現世でいうリクルートみたいな無難で面白みもないものだ)。
けれど言わない。
比較されない事は精神的に有難くもあったけれど、本当は自分の主に威厳?華?というものが無いのが不満なんじゃないだろうかと。

だって、怖いじゃないか
頑張って着飾った所で『似合わない』などと言われようものならば私は立ち直れない。
いや、立ち直ることは出来ると思う。
ただ、抜けない刃が胸を貫いたまま過ごすことにはなるだろう。そんな事はできるだけ避けたいのだ。彼の発言はそれだけ私には影響力が大きいのだ。





影響力が、大きいのだ


清光と乱ちゃんに、もうちょっとおめかししようよと散々言われ(まあ、例のごとく私の気持ちが二振りにはバレバレだったわけで)。
良く一緒に晩酌をする次郎ちゃんにも、『卑屈過ぎる女は嫌われるよ』なんてド正論をぶつけられて。
諦めた、面倒だ、怖い、などと色々思えどやはり悔しいかな僅かに残る『女性』としての性からは逃れられなかった。

それにいつまでもこのままじゃいけないなあと言うことも心のどこかでは分かっていた。
光忠さんに告白するとかそういうんじゃなく、私もきちんとすれば少しは主として見直して貰えるかもしれない。いつも眉をひそめたような、呆れたような顔しかさせられていなかったから。

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