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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第4章 某テーマパークでデート



「さて、これで終わりかな」
「ううん、もうちょいここで」
「まだ何かあるのかい?」

ショーも終わり、通路沿いに並んでいた人たちが一斉に散らばっていく。
閉園時間が近づいて来ているが、まだ終わりではない。最後にもう一つ、光忠さんと見たいものが残っているんだ。
いいから、と制する私の言葉に?を浮かべながらもショーを見ていたままの体制でその場に留まる。
此処は、パーク内のシンボルでもある一番大きな建物を一望できる場所だ。ショーを見る時にこれを狙っていたと言ってもいい。
光忠さんは日本のお城とは形が違うんだね、カッコイイなあと言っていた。好きそうだなと思ってはいたんだよね。
そして、それをバックに立つと本当に様になっていてひたすら写メを撮る私に苦笑いをしてた。
一緒に撮ろうよって。何もかもが、私の大事な思い出。宝物だ。

だから

「今日は僕ばかりはしゃいでしまったなあ…本当に君の誕生日の贈り物になっているかい?」

なんて言われてしまって思わず笑った。
物なんかじゃない、私が欲しかったものは。

「もちろんだよ、光忠さんとこうしてここに来れて、一緒に遊べたことが何よりの贈り物だよ」
「...あるじ」
「楽しんでくれた?」
「...ああ、本当に楽しかったよ」
「ならばよし!」

私も楽しかった!と伝えると、嬉しそうに笑ってくれた。
ずっと夢だった。戦いに明け暮れる日々を過ごしていたら絶対に叶えられない夢だと思っていた。
ベタではある事は自覚している。
でも、こうして普通の女の子が望むような願いを持っていたっていいじゃないか。
いつどうなるかわからない日々の中、彼と2人だけの思い出を少しでも多く作りたかったんだ。
それには、もうひとつ、必要なものがあった。

丁度よく、パーク内にアナウンスがながれる。
もうじき始まるようだ。幸いなことに上空は晴れて風も無い。良いコンディションだと思う。
幾分もしないうちにまた、音楽が流れ始めた。
そして

「...え、うわ...!」

曲に合わせて夜空に舞い上がる、色とりどりの花火達。
案の定夏の風物詩だと思っていた光忠さんは驚きを隠せないようだった。

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