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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第4章 某テーマパークでデート



こういう類のものは、当然だけど本当に初めてだったようで。
いつも戦場で、鋭い眼光を放ち敵を狩り尽くす隻眼の戦士は、「ひゃわああああ!!?」となんとも彼流に言うならば『格好つかない』声をあげ、高速で走りまわる乗り物で安全バーにしがみついている。その顔は蒼白としながらも必死だ。
高いところは大丈夫なようだったが、馬以上に速くそして予測がつかない不規則な動き(こちらからすれば機械でプログラムされている乗り物の方がむしろ規則的に動くものだと思う)が苦手のようだった。
決して『怖い』と言わないのがまた彼らしいなと心の中でそっと笑う。
酷く驚かせたお詫びにと露店で気になったフードを2人で食べた。
なかでもポップコーンは大変にお気に召したらしく...本丸に戻ったらみんなのオヤツに作りたいなとゴンドラのウィンドウの中でポコポコ弾けるポップコーンをずっと見つめていたっけ。

逆に、ゆったりとした船に揺られながら海賊がのさばる街中を通ったり、世界各国の民族衣装に身を包んだ人形達が歌うアトラクションにはその蜂蜜色の瞳をキラキラと輝かせて興味津々に眺めている。

「此処は、外の国での事を取り上げている場所なんだね」
「んーまあ平たく言えばそうだねえ、日本の物を取り上げたテーマパークもちゃんとあるんだけど、雰囲気がいつもと変わらないからこういう所は時に新鮮なんだよ」
「そっかあ」

何気ない話をしながらも、もぐもぐとポップコーンを食べる光忠さん。
悩んだ挙句に某作品の雪だるまくんのポップコーンバケットを首から下げている。
恥ずかしさはどっかに行ったようで、すっかり『夢と魔法の国』の住人と化した彼は本当にかわいい。
今日は何度脳内で「かわいい」と言っただろうか?口にすると気分を害してしまいそうだし、せっかく全力で楽しんでくれているのだからと水を差すことは止めた。
なにより、私自身がそんな姿を見ることが出来て本当に嬉しいから。

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