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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第4章 某テーマパークでデート



元美容師だった審神者友達からそれとなく聞いたことがある、いわゆる『お誕生日休暇』。
なんでも、誕生日である従業員は当日無条件で休暇がもらえるというシステムらしい。
私が勤めていた会社でそんな制度は無く...ましてやシフト制だったのもあり、同僚や上司に前もってお願いをし頭を下げなんとかお休みを頂いていた。
そんな現状だったものだから羨ましく思ってしまったんだ。
審神者になってからもなんだかんだ忙しく休暇という休暇をしっかり取ることはなかなかできなかった。
まあ審神者業といえど本丸で皆と切磋琢磨しつつ過ごせる事には何の異議も不満も無かったからそんな事は一切忘れ去っていたのだけれど。

そんな私にふと、鶴丸さんが声をかけてきたのだ。彼はこの本丸の二振り目の太刀だった。
当時はレア刀だなんて知る由もなく、『なんか白い人来た!』『よくわからないけど凄いのかな??』と騒いでいたら鶴丸難民の友達から顰蹙を買ったりしたっけ…。
そんなこんなで、何気に光忠さんよりも付き合いの長い彼は私の事を良く理解していた。
私の事だけではなくこの本丸のあらゆることに関して敏感で、飄々としているのかと思いきや実は物凄く頼りがいのある言わばご意見番みたいな存在だったのだ。それに気づくのにはちょっとばかり時間はかかったのだけれど。

お誕生日休暇の件で羨ましいだのボヤいていた時だった。

「それなら、君もその休暇とやらを取ればいいのさ」
「え?」
「光坊が心配していたぞ?君は少し働きすぎだ。普段なかなか休暇を取らないんだし、こういう時くらい羽を伸ばしたらどうだ?」

いや確かに羨ましかった。
けれど、ボヤいただけでその休暇を催促しようとしたつもりは毛頭無い。
しかも私だけが楽しむなんてなんだか悪いし...
ちょっと言ってみたかっただけなんだ、なんて慌てて弁解するも、今となってはそういうところまでまるっとお見通しだったんだろうなと思う。

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