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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第4章 某テーマパークでデート



「ええ!?これ、僕が付けるの...!?」

現世
某巨大テーマパークに、私と彼はいた。
一歩足を踏み入れれば現世からは更にかけ離れた世界が広がっている。
全てが同じではなく、かといって全く違うわけでもなく...鮮やかに彩られた煌びやかで優しいその場所は、まさに『夢と魔法の国』だった。

その『夢と魔法の国』に似つかわしくないなんとも不服そうな顔で、これまた違和感マシマシの可愛らしい某鼠の耳がついたカチューシャを差しだされた隻眼の伊達男。
その顔と、カチューシャのあまりのミスマッチ具合に思わず吹き出してしまった。

「いーじゃんいーじゃん可愛いよ!」
「加州君みたいに言ってもダメだからね!」

全く!とカチューシャを断固拒否する彼、燭台切光忠は、せっかく整えた髪が乱れる、とかなんとか...。
恥ずかしい、じゃなくてそっちなんだ...。
まあ、本丸一格好良さを追求する彼には当然の思考かもしれない。
二時間以上かけたいつもの右側が長めの髪型に、現世だからと考慮した医療用眼帯。
白のVネックニットに細身のブルージーンズ、その上からは厚手のロングブレストコートに手袋と、更にはワインレッドのマフラー。
彼は文句無しに格好良かった。
(服装の趣味は彼だけじゃなく私の趣味が入り混じっているということは言うまでもないが)
彼の心情は、『せっかく格好良く決めたのに』と言った所だろうか。
いつもならば冗談だよと流すが今日は譲れなかった、なぜなら。

「せっかくのお誕生日デートなんだし、こういうの、してみたかったんだよ。私はこっちのリボンが付いてる方するから、ね?いいでしょ?」

だめ?と食い下がると、そのキリリとした眉を下げ困ったように笑った。

「...ずるいな、そう言われたら断れないじゃないか」

そうなのです。
今日は私のお誕生日。

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