第4章 アンダーテイカー
私の目は日に日に良くはなっている。
(あと…何日で元に戻るんだろ…)そんなことを考えながら店の掃除をしていた。
ー数分前
「じゃ、小生は用事があるから出かけるけど店のことは頼んだよぉ〜じゃぁね〜」と言い残して葬儀屋は出かけた。
「た、頼んだよと言われても…」私は困り笑顔をしながら葬儀屋の乗った馬車に手を振った…見えてはいないけどなんとなく分かった。
ーそして、今に至る
(することがなかったから掃除してるけど…見えないと不便だな…)掃除は一応できるけど見えてないとたまに水入りバケツを頭から被ったりもする。
「えと…これはこっちで…これもこっち…」私は店の中にある本やビーカー、棺桶を元の場所に戻していた。
カランカランッ 店の扉が開く音がした。
「あ、いらっしゃいませ!」私は見えてないけど人のいる方向を見てそう言った。
「おや?ラベンナ様お一人ですか?」セバスチャンの声だ。
「執事さん!すいません今彼は留守でして…」私は本を片付けながら言った。
「そうか…なら、仕方ない…お前は何かわかるか?」伯爵の声がした。
「う〜ん…なんの情報をお求めで?」私は手を止めて聞いてみた。
「最近出現した首の辺を切られて左手のひらに『D』と書かれた死体の件だ」伯爵が言う。
「知ってます…」私は記憶を頼りに死体の中身や傷口といった特徴を思い出していった。
「それの情報を知っているだけ寄越せ」と伯爵は強気に言ってきた。
「あ〜でも、タダであげてしまうとアンダーテイカーが怒るかもなので…『アレ』をお願いしても?」私は葬儀屋の真似事をしてみた。
「チッ…セバスチャン!」そう言うと「御意…」セバスチャンが私の耳元まで顔を近づけたのが分かった。
(頑張って笑いを堪えてみるか…セバスチャン・ミカエリス全力で笑わせにこい!)私は覚悟を決めた。
「では、数字を数えます」セバスチャンがそう言った。
(す、数字?)私は訳が分からなくなった。
「それではつまらないので6と9の倍数でとてつもなくエロいことを言います。…よろしいですか?」セバスチャンがそう言う。
(え?え?どういうこと?)私は耳を澄ませた。
「いち…にぃ…さん…しぃ…ごぉ…(バキューン)…」
「クッ…w」私は彼の言ったセリフに耳を疑った。
(こいつw容赦なく(バキューン)って言ってきたぞwやばい抑えろw)私は必死に笑いを堪えた。