第3章 葬儀屋へようこそ
色々と話しているうちに日が暮れてしまっていた。
「おや、もうこんな時間か…」葬儀屋が椅子から立ち上がる音がした。
「あ、もしかしてもう日が暮れてるのか?ごめんなさいこんなに長居してしまって…」私は白杖を手に取り立ち上がる。
「そう言えばクロウは行く宛てあるのかい?」葬儀屋が私に問いかけた。
「まぁ、宿屋とか探そうかなって…見つけられなかったら路地で寝ればいいしw」私は葬儀屋にお礼を言ってお店を出ようとして取手に手をかけた時
「もし良かったらだけど…ここに住まないかい?小生の手伝いとかしながら…クロウの目は多分半年位で治るし治るまで小生が面倒とか見てあげるよ?」と葬儀屋は言いながら私の両肩に手を置いてきた。
「でも、仕事とかで忙しいんじゃ…」と私が問いかけた。
「ヒッヒッ…忙しいけど君が手伝ってくれれば忙しさはある程度減るんじゃないかなぁ?」葬儀屋は少し嬉しそうな声で言ってきてくれた。
私は少し考えてから
「分かった…アンダーテイカーの助手(バイト)でいいんだね?」と私は答えると扉の取手から手を離して再び中へと入った。
ー数日で私は店の中を白杖無しで歩けるようにまではなったけど…物や場所の配置を覚えるまでは苦労した…何度も頭をぶつけたりした。(アンダーテイカーには笑われたけど)
「さて、もうすぐ"伯爵"が店に来る…その時君は自己紹介してねぇ」葬儀屋が私の額に爪を当てながら言った。
「分かりました…」私は直ぐに頷いた。
ー数分後 カランカランッ と店の入口のベルが鳴った。
「葬儀屋居るか!」若い少年の声が店に響いた。
「よぉ〜〜〜こそ伯爵。やっと小生特製の棺に入ってくれる気になったのかい…!」葬儀屋が棺からぬっと出てきながら言った。
「そんな訳あるか!」少年が葬儀屋に怒った。
「今日は…」少年が喋ろうとした時「言わなくていいよぉ小生にはちゃぁんと分かってるからねぇ」と葬儀屋が少年の口の前に手を置いた。
「でも、その前に小生の助手を紹介してあげるよ、おいで…」葬儀屋が私の事を呼んだ。
私はそっと物陰から出てきて。
「初めまして…クロウ・ラベンナと申します…」私は少年の前に立って自己紹介した。