第6章 視覚…
「アンダーテイカーは私のこの癖…変だとか気持ち悪いとか思わないのか…?」私はお客さん(死体)を検死しながら聞いてみた。
「ヒッヒッ…小生は別にどうも思わないよぉ?」葬儀屋が答えてくれた。
「そう…なら、別にいいんだけど…」私は死神協会にいた時に言われたことを思い出してしまってた。
『屍体性愛とかキモイんだよお前』『もしかして自殺して死神になったのって…屍体を見るため?』『あぁ〜ヤダヤダ変な癖持ちなんか』『キモイから話しかけないでね』『屍体好きの死神とか…ないわ…』そんなセリフばかりが私の脳裏に蘇った。
(違う…屍体見たさに死神になったんじゃない!違う!なんで私の話を聞かないの!)私の両手はいつの間にか耳を塞いでいた。
「どうしたんだい?」葬儀屋が私の顔を覗き込むように聞いてきた。
「な、なんでもない…大丈夫…」私はすぐにまた検死を開始した。
ー検死を終えて葬儀屋となんでもない話を少しばかりしていた。
「それにしてもクロウの視覚がすぐに戻るなんてねぇ〜小生びっくりだよ…ヒッヒッ」葬儀屋が私の目の前まで来て私の目を見ていた。
「私も正直回復早すぎて驚いてるよ…」私は自分の目に触れて「でも、アンダーテイカーの顔を見れるんだし…」そんなセリフをこぼしてしまってた。
(あ…今私なんて言ったんだ?!)自分の言ったことに気づいて恥ずかしくなって顔が熱くなるのを感じた。
「ヒッヒッヒッ…まさかクロウがそんなことを思ってたなんてねぇ〜」葬儀屋の顔が更にニヤニヤした。
(何言ってんだ私ぃ!アンダーテイカーニヤつくなぁ!)私は両手で顔を覆った。
「おやぁ〜?隠しちゃうのかい?ほらほら〜小生に見せてくれないのかい?ヒッヒッ」意地悪をするかのように言ってくる葬儀屋。
「あぁ…もお!」私は立ち上がり「出かけてくる!」白杖を手に取って店を出た。
「視覚は回復したのになぁんで白杖を持っていくのかねぇ?」小生は少しばかり不思議に思っていた。