第6章 視覚…
ー葬儀屋との約束をしてから何日…何週間…と時間は経った。
私は包帯の巻かれてない目を開けてみた。
ーどうせ何も見えない…私はそう思っていたが…
視界に映ったのは暗い黒の多い部屋だった。
私は身体を勢いよく起こすと「やっと…やっと…視覚が…」嬉しくて大粒の涙を流しながら自分の涙を拭いていた。
「アンダーテイカー!アンダーテイカー!!」私はパジャマのまま葬儀屋の所まで走って向かった。
「ん〜?どうしたんd…」葬儀屋が言い切る前に私は飛びついていた。
ドサッ 葬儀屋と私が床に倒れ込む音がした。
「朝から元気だねぇ〜ヒッヒッ」葬儀屋が身体を起こした。
「視覚が…も、戻ったんだよ!半年経つ前に!」私は涙を流しながら葬儀屋の胸元にしがみついていた。
「良かったねぇ〜…おや?クロウの瞳は死神みたいな色と特徴をしてるねぇ〜」葬儀屋のそのセリフにドキッとなった。
ーそう、私の瞳は隠されていた…そして、死神だということをここまで隠し通してきていたのだ…
「え、えと…もし、私が死神だったとして…アンダーテイカーは…私を…」私は俯きながら言うと葬儀屋の手が私の頭を撫でた。
「クロウが死神だろうと、人間だろうと悪魔だろうと…小生は逃がすつもりは無いんだけどねぇ?ヒッヒッ」葬儀屋のそのセリフにまた、涙が込み上げてきた。
「アンダーテイカー…ありがとう…」私は葬儀屋に抱きついてお礼を言っていた。
(あぁ…私はこの人といたい…)私は初めてそんなことを心の底から思った。
「クロウそろそろ小生を離してくれないかなぁ?検死しないといけないんだけどなぁ〜」と葬儀屋が私に言ってきたから私はすぐに立ち上がって謝った。
(あれ?そう言えば私死神だけど…眼鏡無しでもよくね?!)私はくっきりと世界が見えていたのだ。
ー死神は皆ド近眼なので眼鏡は絶対と言っていいほど大切にしてる。
「おぉ〜これは綺麗なお客さんだ〜」葬儀屋が検死してる時に言う独り言だ。
「私も手伝っていいかな?」私は葬儀屋に声をかけた。
「ん〜?良いよぉ〜」葬儀屋はすぐに許可してくれた。
私は葬儀屋が見ていたお客さん(死体)を見ると「綺麗…無口で…ロウみたいに白い肌…」私の悪い癖がすぐに出る。
「ヒッヒッヒッ…クロウは分かってるねぇ〜」葬儀屋がニマニマしながら言った。