• テキストサイズ

マイクから紡ぐ夢【ヒプマイ】

第1章 『野良猫ギャンブラーの手懐け方』有栖川帝統 R18



少しカサついた唇。
言葉とは裏腹に優しく触れる。
数回触れ合わせると、唇にねろりとした感触。
少しだけ唇を開くと滑った舌が隙間から押し入り、私の舌を捉えた。

「っ…」

これから起こるであろう快感に恐怖を覚え舌を引くと、逃さないと言わんばかりに帝統の手が私の後頭部を押さえつける。

「だ……いす…」
「飯の礼に、良くしてやるから。」

息継ぎの隙間に言われた言葉。
それはいつもよりも低く掠れていて、その声だけで体の力が抜ける。
それが帝統にも分かったのか、後頭部といつのまにか腰に回った手にさらに力が入った。
恐怖を快感が打ち消していく。
すがりつくようにスエットに手を伸ばす。
絡まる舌が気持ちよくて自らも舌を絡めていると、腰にあった手がルームウェアに忍び込む。
抗議するようにスエットを強く握ったけれど帝統は気にする様子もなく、そのままブラジャーのホックを外す。
そのタイミングと同時に唇を離した帝統は私が口を開く前に素早く私の体を持ち上げベッドに放り投げた。

ギジリとなるスプリング。
それを背中に感じた時には帝統は私の前にいた。
部屋の中を明るく照らす蛍光灯を背中に背負った帝統の表情が見えない。

「明るいの…嫌。」

苦し紛れにそう吐けば、帝統は笑う。

「それじゃあ夏乃チャンの良い顔見えねえじゃん?」

だから嫌だとそのまま脱がせようとする帝統を止めると、私は枕元に手を伸ばした。
かちりとなるスイッチ。
サイドボードに置いた間接照明が淡い光を放つのを見て、帝統は部屋の電気を消した。
何度も明るいところで見られているのだが、やはり最初は羞恥心の方が上回る。



「電気も消したし、もう遠慮しねえからな。」

逃げられないようにだろうか。
私の腿に帝統は腰をかける。
そして私に見せつけるかのように、ゆっくり、ゆっくりスエットを脱いでいく。
まるでストリッパーのように服を脱ぐ帝統に、じわり、下着が汚れるのがわかる。
ぱさりと床にスエットが落ちると、上半身裸の帝統が私の手首からヘアゴムを抜き取った。

「余計なものに邪魔されたくねえから。」

だったら切ればいいのにと思うほど長い髪の毛。
寂雷(じゃくらい)先生ほどではないが男性にしては長めの髪を後ろに束ねた帝統は口元に舌を這わせながら、笑った。



/ 32ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp