第4章 『野良猫ギャンブラーに首輪をかけて』有栖川帝統 R18
「俺は金で買えるモンなんて要らねえ。」
私の瞳を覗きながら帝統は言う。
「だからさ
「俺はお前の今が欲しい。」
そう言って帝統は私の首に掛けたチェーンを撫でた。
首のチェーンに掛けた華奢な指輪。
前に帝統からもらったものだ。
「結婚…とか重たいことは言わねえから夏乃んとこに帰ってもいいか。」
いつもより弱気な言葉。
それだけ不安なのだろう。
それでも私に視線を向けて伝える姿は愛おしくて、持っているケーキの生クリームを指ですくい帝統の鼻の頭に乗っけた。
「なっ!おまっ!人が真剣に…」
尖った声。冗談にとったとでも思ったのだろうか。
帝統の顎をすくうとぺろりとクリームを舐めた。
ケーキに残ったもうひとつのクリームの塊。再び指ですくえばそれを帝統の唇に乗せぺろりと舌で舐めとった。
甘いクリームが舌に絡む。
甘くて、美味しくて、帝統の唇を舐めていれば私の舌を帝統の唇が食んだ。
「…帰ってくるだけでいいの?」
繋がれたい。
繋がれてたい。
「私は帝統のものになりたいよ」
そう言えば、急に赤面する顔。
それは勢いよく離れていく。
「帝統照れてる。」
「っ!照れてねえし!」
「まあ、ギャンブルに大金使わなかったら私の稼ぎでなんとかなるし。野良から飼い猫に昇格しない?」
誘うように伸ばした手
その手をぎゅうと握る帝統の掌はすこしあつくて
そのまま私は指を絡めた
end