第4章 『野良猫ギャンブラーに首輪をかけて』有栖川帝統 R18
飲み始め、食べ始めてもうすぐ2時間。
雰囲気が楽しすぎてハイペースになってしまったアルコールがまわったらしい。
帝統が心配そうに私を覗いてくる。
「夏乃、大丈夫か?」
「ん、だいじょーぶ。」
ふわふわした感覚が楽しい。
帝統に心配されて嬉しい。
2つが入り混じり、目の前のレモンサワーをぐいと煽る。
「夏乃、帰るぞ。」
「えー、もうちょっとー!」
お勘定をしようと立ち上がる帝統を止めたくて、腕にしがみつくと帝統の顔が赤に染まる。
「っ!夏乃、どんだけ酔っ払ってんだよ。帰るぞ。」
カウンターにお金を置き足元に置いていた私のトートバッグを持つと、帝統は私に手を伸ばす。
掴まれた腕が熱を持ち思わず引いたけれど、酔っ払いがふらついた様に見えたのか、離してはくれない。
「夏乃、出る。」
覗き込まれた瞳が熱っぽくて、綺麗で、
私はそのまま帝統に腕を引かれてお店を出た。
まだまだ人の多いシブヤ。
たくさんの人に流されそうで思わず帝統のコートの裾を握る。
まだ、この流れに乗りたくない。
帰りたくなくて、後ろを振り向いた帝統に背伸びをして口付ける。
すっかり薄くなったルージュは帝統の唇をほんのり染める。
「珍しいな。」
「明日は病欠で休み。」
「誘ってんのか?」
「今更。」
くすり、笑った帝統は唇を染めたルージュをペロリと舐めとり私の腰を強く抱いた。