第4章 『野良猫ギャンブラーに首輪をかけて』有栖川帝統 R18
連れてこられたのは自分1人では立ち寄ることがない大衆酒場。
帝統は慣れたように暖簾をくぐるとカウンターに行きかけ、ハッとした顔をする。
「どっちがいい?」
カウンターと2人がけの席、どちらがいいかと選択を促されるが私は答えを口に出す前に動き、カウンターに座った。
「こっち、楽しそう。」
「おうっ!」
帝統はにかりと笑いながら私の隣に座る。
そのままメニューも見ずカウンター内の女将にビールを注文した。
「そっちのお姉ちゃんは?」
そう言われ慌ててメニューを見るけれどどれも美味しそうでメニューを目が滑る。
「こっちはビール。あと出汁巻作ってよ。他はちょいちょい頼んでくから。」
「はいはい。もー!ダイちゃんがイイ人連れてくるなんて初めてだから気合い入っちゃうよ。」
「そういう余計なこと言うなって。」
女将と話していた帝統は私の方を向く。
そして私が持っているメニューを奪うと指差しながらにかり笑った。
「んとな、ここは出汁巻が絶品。あとはモツ煮とか、レバカツとか…」
「私、嫌いなものもアレルギーもないから、帝統のおすすめ頼んでよ。」
そう言えば、帝統はまたにかりと笑った。