第2章 『待ち合わせ』
『観音坂独歩』
久しぶりに、独歩の残業がない日を選んだのにこれはなあ…
そう思いながら最寄駅まで走り、スマホで連絡を取ろうと画面をタップし耳に当てた…
「っ夏乃っ!!」
耳からでなく直接聞こえた声。
そのあとに聞こえる独歩の着信音に、私は後ろを振り向いた。
そこにはスマホを構えた独歩が私を見ていた。
「独歩、どうして…」
「残業だってメッセージ来たから…こっちにいた方がいいかなって。」
特にどこで飯食うって話もしてなかったしな、と独歩は笑う。
すれ違わなくてよかった。
ほっとして私は人目もはばからず独歩に抱きつくと肩に頭を置く。
「遅れてごめんなさい。」
ぽそり、呟くと、小さく息をのむ音とともにどんと荷物が落ちる音、そして小さな舌打ちが聞こえ独歩の腕がぎゅっと私を抱きしめた。
「っ⁉︎独歩!」
「黙って…」
ぐっと抱き寄せられた腰。
触れた箇所は硬く、独歩の中心が立ち上がっていることがわかる。
「な、で。」
「夏乃が可愛いことするからだ、馬鹿…」
飯の前に夏乃食いたいんだけど…
そう呟かれた声は熱く、掠れている。
私も食事なんてどうでもよくなりこくりと首を縦に振ると、ぎゅっと抱きしめられた腕が離れていく。
代わりに繋がれた手からは、独歩の熱が伝わってきた。
end