第1章 はじまり
「何かあるのか?」
身体のあらゆる関節を動かしてみながら同田貫が問うと、二人が頷いた。
「主のことについて、少し話がある」
「主?」
「そうだ、我れらが主は人ではない、半妖だ」
「半妖?」
少し驚いたように、同田貫が長谷部の唐突な言葉を繰り返す。
「あぁ、そうだ。なので我が本丸は特殊本丸と位置付けられている」
「難しいことは、よくわかんねーが、まぁ俺は戦えりゃぁ何だっていいぜ」
「そうか、だが聞いてもらおう。これはこの本丸に来た者には、必ず聞いてもらう話だ」
長谷部と光忠の真剣な眼差しに、同田貫も身体を動かすのをやめ、真っ直ぐに二人に向かい座り直す。
「ごめんね、同田貫くんはまだ白湯にしておこう。ゆっくり飲めば大丈夫だから」
そう言いながら、光忠が3人の前に湯呑みを配った。