第1章 はじまり
「はっはっはっ。一期、あのものは男子とは限らんぞ。なぁ、主」
にこにこと笑っていた三日月の瞳が、一瞬鋭くなる。
「その小さきものが、何者であるか教えてくれんか?わざわざ初期刀と、その兄弟まで連れて迎えに行ったのは、その者が人ではないからか?」
三日月の言葉に広間が静まると、全は小さく笑った。
「流石、三日月。まぁ、わかる奴にはわかるか。お察しの通り、この子は人ではないよ」
そう言うと、胸に抱いた赤ん坊の頭を優しく撫でる。赤ん坊はクリクリした目で全を見ると、掴んでいた着物をギユッと、掴み直した。
「この子が何者なのか、俺もよく知らない。
ただ人ではないこと、成長過程で性別が決まることは聞いている。霊力が強いから、政府は何とかして審神者に育てたいらしい。両親のことは教えてもらってない。成長するまで蝶になるか鬼になるかわからないけど、わかっているのは、小さいこの子が生きる為に誰かを必要としてること。だからその誰かに俺がなろうと思うんだ」