第1章 はじまり
「ごめん、ごめん。同田貫に伝えなかった俺が悪かった。皆に伝えてたんだけどねぇ。ほら、よしよし。機嫌直してくれ」
そう言いながら全が赤ん坊を抱き、なんとか泣き止ませようと試みる。しばらくすると落ちついたのか、赤ん坊は皆の方を向き、その大きな瞳を開けて見せた。
「青江、僕たちと一緒みたいですね」
「黒々として、大きいよねぇ・・・瞳のことだよ」
宗三と青江が反応したのは、クリクリと大きな瞳の色だった。その瞳は黒と金。左右の色の違うものだった。その瞳をパチクリした後、赤ん坊は皆にニコリと笑って見せた。
「きゃぁぁぁ、かわいい」
「かわいいですぅ」
「ちっちゃいなぁ」
「これはこれは、ういのぅ」
短刀達を中心に黄色声が上がる。それを受け全が赤ん坊の角度を変え、皆に顔がよく見えるようにする。